空売りと空振り

 空売りと空振りは似ている。空売りは「500円で売るわ(安いから買うやろ)。」と売り買わせといて300円くらいになると思いつつ知らんぷりをすることに近い。そして思った通りになったところで買い戻す(最初は安いから買うと思って売るのにさらに安くなるのを見越しているところが確かにおかしい、空振りをしているように最初見える。その後本当は打てると思っているにもかかわらず)。こうして200円の利益を得、500円で買った人はそのあと少しでも高くなればいいがそうではないと同じ額を損する。

 

 日々、価格の変動を見て空振りしホームランを虎視眈々と狙う。空振り空振りホームラン。空売りの日々。かなりやってることはプラス思考からはかけ離れている。今の価格が将来的にどこまで下がるか、そこからどれだけ離れているか、それを照準を合わせるように売る。期待からさらに上がるのを見越して買うのとはまるで真逆なのだ。ところでこれはどこか聞いたことのある話に思える。

 

 失われたうん10年と言われてうん10年が経過し、大袈裟に、本気で、空振りを(ホームランを打てるとも思ってもいない)続けてきた成れの果てが今のこの日本なのではないだろうか?順張りで長期での投資もすることなく、ただただ低下する身体能力を直視することなく、何の工夫もすることなく、同じフォームで省みることなくただただ本気の空振りを続けている。それが今の日本。空振りを続けたところで何か秘策があるならまだ、何もないまま様式美としての空振りを極めたところにこの国の悲劇が見える。

 

 団塊の世代を優遇せずに彼らを空振りして、その下のジュニアをヒットしていれば、そう思わずにはいられない。

 

 どこで売り、どこで買うか、単純なようで極意。あなたはうまくヒットすることができるだろうか?